ZENMUSE X7(レンズなし)
¥349,800
商品説明
ZENMUSE X7(レンズなし)の商品情報
DJI Inspire 2への搭載が可能な一体型ジンバル搭載のコンパクトSuper 35mmカメラ
ハイエンドな映像制作のために設計されたZenmuse X7は、素晴らしい解像感と映像品質を実現する一体型ジンバル搭載のコンパクトSuper 35mmカメラです。
Inspire 2との互換性により、映画製作でネクストレベルの空撮を目指すプロフェッショナルにとってベストの選択です。
14ストップのダイナミックレンジ対応24 MPのCMOSセンサーは、ディテールの細部まで描き出し、6K CinemaDNGと5.2K Apple ProResに対応。
24 MP静止画を20 fps連続RAWバースト撮影もできます。
またX7は、世界初空撮用一体化レンズマウントであるDLマウントを採用。対応した4つの単焦点レンズを素早く切り替えることができます。
シームレスな編集を可能にする新しいDJIシネマカラーシステムでは、ポストプロダクションで作業しやすいように正確な色情報を保持します。
これら刷新された機能を搭載したDJI Zenmuse X7、そのカメラが実現する映像は新たな高みに到達し、映像制作者の思い描いたものを現実にします。

















【よくある質問】
Q.Zenmuse X7をInspire 2以外のプラットフォームと、もしくは単体で使用できますか?
A.現時点ではできません。Zenmuse X7のジンバルとカメラは、現在Inspire 2とのみ使用できます。今後、さらに多くのDJI製品と使用できるようになります。
Q.Zenmuse X7はInspire 1との互換性はありますか?
A.ありません
Q.新しいZenmuse X7とZenmuse X5Sの主な違いは何ですか?
A.Zenmuse X7は、Super 35mm映像センサーと、互換性のある4本(16mm、24mm、35mm、50mm)の空撮用レンズを取り付けられるDL-マウントを搭載しています。
一方、Zenmuse X5Sのセンサーサイズは4/3インチで、標準のマイクロフォーサーズマウントを搭載し、8本のプロ向けレンズに対応しています。
※X5Sに互換性のある一部のレンズには、バランスリングが必要です。
Q.その他のZenmuseカメラと比べて、Zenmuse X7はどのような点が向上していますか? また、映像品質はどのように異なりますか?
A.ZZenmuse X7は、23.5×15.7 mmセンサーを搭載し、1ピクセルのサイズは3.91 μmまで増大しています。
RAW動画を最大6K/30 fpsまたは3.9K/59.94 fpsで撮影し、写真の最高解像度は24 MPです。
X7に搭載されている大型センサーは、 素晴らしい写真や映像を撮影できるだけでなく、最大14ストップのダイナミックレンジを実現します。
Q.DL-マウントのメリットは何ですか?
A.DL-マウントは、カメラのサイズと重量を著しく軽量化しながら、映画品質の映像を確保します。
X7のフランジ焦点距離は、DL-マウントによって16.84mmまで短縮されています。
また、空撮向けにカメラをよりコンパクトにし、安定性を向上させます。
Q.Zenmuse X7と互換性のあるレンズは何ですか?
A.現在、Zenmuse X7は、最大絞りF2.8の4本のDL-マウントの単焦点レンズと互換性があります。
16 mmレンズには、NDフィルターが内蔵されています。24、35、50 mmレンズはリーフシャッターを搭載し、最大シャッター速度は1/1000sです。
Q.4本の互換性のあるレンズのうち、DL-SとDLの違いは何ですか?
A.DL-Sレンズが対応している最大センサーサイズは Super 35mmです。
他のDLレンズ3本はフルフレームセンサーに対応しています。すべてのレンズで最大8Kの解像度を実現します。
Q.リーフシャッターについて教えてください。リーフシャッターのメリットは何ですか?
A.シャッター速度が1/1000sより遅い場合、リーフシャッターが自動で有効になりますが、手動で無効にできます。
リーフシャッターは、ローリングシャッター現象による映像の歪み、蛍光灯下のフリッカー現象による縞模様、
高速で移動する被写体を撮影する際に生じるモーションブラーを防ぎます。現在、リーフシャッターはシングルショットモードのみで有効になります。
Q.X7の互換性のあるレンズは、サードパーティ製のフィルターに対応していますか?
A.対応しています。Zenmuse X7のレンズと使用できるフィルターは、直径46mm、重量10〜12g、厚み4.4mm以下(スレッド除く)のフィルターです。
Q.Inspire 2でZenmuse X7を使用する場合、ストレージには何を使用すればよいですか?
A.microSDカードとDJI CINESSDを使用してください。通常の映像撮影にはmicroSDカードを使用します。
特定の動画フォーマットを必要とするハイエンドな映像制作の場合には、CINESSDをご使用ください。CINESSDはmicroSDカードなしでのご利用はできません。
Q.Zenmuse X7がInspire 2と接続されている場合、写真と動画はどこに保存されますか?
A.JPEGとDNG画像(バーストモードで撮影されたRAW 映像除く)と、H.264およびH.265コードの撮影動画は、microSDカードに保存されます。
バーストモードで撮影されたRAW映像は、DJI CINESSDに保存されます。
適切なアクティベーションキーの適用後は、CinemaDNGとApple ProRes動画の録画が可能になり、映像はDJI CINESSDに保存されます。
Q.Zenmuse X7、Inspire 2、DJI Inspire 2アクティベーションキー、CINESSDの関連性を教えてください。
A.Zenmuse X7は、Inspire 2と互換性のあるプロフェッショナル向け空撮カメラです。Zenmuse X7で録画された動画は、CineCore 2.1画像処理システムで処理されます。 DJI Inspire 2アクティベーションキーで、CineCore 2.1用のCinemaDNGやApple ProResの処理機能のロックが解除されます。
録画されると、これらのファイルはCINESSDに保存されます。動画の録画性能は、使用しているCINESSDの容量によって異なります。
最高品質を生み出す設計
X7では、Super 35mmセンサーを採用、高速読み出しで6K/30fpsと3.9K/59.94fpsのRAW出力に対応しています。
ピクセルサイズは3.91μm を実現し、録画時のセンサーの対角線長は26.6 mmとなっています。
このセンサーサイズにより、光に対する高感度と14ストップのダイナミックレンジ を実現し 、Zenmuse X5Sの12.8ストップと比べてもレンジがより広くなっています。
さらにX7のSNRは46dBで、X5Sよりも8dB高く、レンジの合計は最大9.41ビットになります。
これらすべての特長により、撮影現場でのどんな厳しい状況下でも、常にクリエイティビティに応える優れたワークフローを可能にします。
DJI DLマウントシステム
新採用のFSI-Cuテクノロジーで、X7のセンサーは薄い多層配線が特長となっています。
これにより、感光性が高く、光をより広い入射角でセンサー領域に到達させることができます。
その結果、素晴らしい映像品質を維持しながら、センサーへのより小型なレンズマウントが実現しました。
DLマウントのフランジ焦点距離は17mm以下で、PLマウントのおよそ1/3のサイズです。
この小型化により、X7の重量はレンズをあわせても、わずか約630g。X7とInspire 2を組み合わせても、およそ4kgにしかなりません。
しかし、その撮影能力は40kg級機材での撮影に匹敵します。
DLレンズ
DJIは、DLマウントシステムに対応した4つの単焦点レンズを採用。焦点距離は16〜50mm、解像度は最大8Kまで対応するレンズとなっています。
DLレンズは、軽量なカーボンファイバー製で、世界トップレベルの光学技術チームによって設計されました。
X7のハイエンドなイメージセンサー用に設計された4枚のレンズには、最新技術が駆使されています。
創造にさらなる柔軟性を
Inspire 2 の CineCore 画像処理システムは、CineCore 2.1 にアップグレードされたため、X7のポテンシャルを最大限に引き出します。
6K/30fps CinemaDNG と 5.2K/30fps Apple ProResで録画が可能なため、ポストプロダクションではよりクリエイティブなオプションを選択できます。
生まれ変わったEIモードが CineCore 2.1 に搭載され、さまざまな感度レベルで高品質に撮影できます。
またアップグレードした画像処理システムは、ビデオアーチファクトとノイズを削減し、
暗部のレベル補正システムでプロレベルの映像を実現し、より詳細な映像情報を保持します。
さらに、CineCore 2.1 は新しいカラーシステムを採用、プロのフィルムメイカーが行うポストプロダクション工程において、
よりクリエイティブな柔軟性の表現を実現しました。
撮影から完成まで、すべてを一変させるカラーシステム
今回搭載されたDJIシネマカラーシステム(DCCS)の登場により、プロ向け映像システムが持つ可能性が広がり、
映像制作向け空撮映像のポストプロダクション工程でより多くの選択肢を与えることになりました。
この新しいカラーシステムは、D-LogカーブとD-Gamut RGBカラースペースで構成されています。プロ映像制作用に設計されたD-Logは、
Zenmuse X5Sと比べて2ストップ高い、15ストップのダイナミックレンジでエンコードを行えます。
低照度条件下でも、X7はハイライトから暗部までディテールの詳細を保存し、ポストプロダクションでのクリエイティブな編集を可能にします。
映像制作で一般的に使用されるDCI-P3のカラースペース全体をカバーするD-Gamutは、空撮映像と静止画撮影のためのカスタムメイドです。
D-Gamutのより広範囲な緑の色調が、映像に美しい緑色のグラデーションを再現します。
さらに、D-Gamutは肌色の色調も最適な色度に調整、最適化し、隅々までみずみずしい肌色に仕上げます。
カラーグレーディングに専用の3D-LUTを採用し、露光が異なっていても肌色の色調をソフトに調整します。
D-Gamutを設計する際、DJIはマニュアルのカラーグレーディングを考慮しました。
その結果、3D-LUTやカラーマネジメントを使わずにグレーディングしても、肌色は黄色になりません。
DJIは現在、複数のプロ向けポストプロダクション用ソフトウェアのメーカー会社と連携し、
D-LogとD-Gamutを組み込む作業を行い、D-LogとD-Gamutが世界中の映像制作の業界標準になるように早期実現を目指しています。
拡張されたダイナミックレンジ
同様な設定でもさらに広がるダイナミックレンジ
自然なハイライトロールオフ
カラーグレーディング中に映像の明るさを調整すると、明るさと同時に色調も同期して調整されます。
バランスの取れた色調:より簡単になったグレーディング
R/G/Bカラーの彩度は、繊細にバランスが取られています。
ソフトな肌色の色調
よりソフトな肌色の色調が、ポストプロダクションで多くの選択肢を実現
より創造的な可能性を
DJI公式のLUTに加えて、さまざまなLUTを使用できます。
ZENMUSE X7(レンズなし)の主な仕様
一般
■製品名
Zenmuse X7
■寸法
151 × 108 × 132 mm
■重量(レンズ除く)
449 g
ジンバル
■ぶれ範囲角度
±0.005°
■マウント
取り外し可能
■操作可能範囲
チルト: +40〜-125°、パン: ±300°、ロール: ±20°
■機械的な可動範囲
チルト: +50〜-130°、パン: ±330°、ロール: +90〜-50°
■最大操作速度
チルト:180°/s、ロール: 180°/s、パン: 360°/s
カメラ
■センサー
センサーサイズ(静止画): 23.5×15.7 mm、センサーサイズ(最大動画録画領域): 23.5×12.5 mm、有効画素数: 24MP
■対応レンズ
DJI DL-S 16mm F2.8 ND ASPH(レンズフードおよびバランスリング/フィルター含む)
DJI DL 24mm F2.8 LS ASPH(レンズフードおよびバランスリング/フィルター含む)
DJI DL 35mm F2.8 LS ASPH(レンズフードおよびバランスリング/フィルター含む)
DJI DL 50mm F2.8 LS ASPH(レンズフードおよびバランスリング/フィルター含む)
■対応microSD/SSDカード
microSD: Class 10またはUHS-1、書込み速度15MB/sが必要、最大容量: 64 GB SSD: DJI CINESSD
■写真サイズ
3:2 4:3 16:9
■写真フォーマット
DJI CINESSD: DNG、micro SD: DNG、JEPG、DNG+JEPG
■操作モード
撮影、録画、再生
■静止画モード
microSD: シングルショット、バーストショット (静止画の連続撮影)(3/5/7/10ショット)、
自動露出 ブラケット(0.7EVバイアスの3枚/5枚ブラケットショット、IntervalSSD: RAWバースト(3/5/7/10/14/∞フレーム)、
RAWバースト使用時最大20fpsだが、 正確な写真の数はSDカードの容量とバッテリー残量により制限される。
■シャッター速度
電子シャッタースピード: 1/8000〜8秒
メカニカルシャッタースビード: 1/1000〜8秒(DJI DL-S 16mm F2.8 ND ASPHには対応していません)
■ISOレンジ
写真: 100〜25600 動画: 100〜1600(EIモード有効)、100〜6400(EIモード無効)
カメラ機能
■露出モード
オート、マニュアル、シャッタースピード優先
■露出補正
3.0(1/3ステップ)
■計測
中央部重点測光、スポット測光(領域オプション12×8)
■AEロック
対応
■ホワイトバランス
オート、晴天、曇り、白熱灯、ネオン、カスタム(2000 K 〜 10000 K)
■ビデオ キャプション
対応コーデック(AVC/HEVC)
■PAL/NTSC
対応
■超音波ほこり除去
対応
動画
■動画フォーマット
CINESSD: Cinema-DNG、ProRes microSD: MOV、MP4
■動画解像度
アスペクト比 17:9
【CinemaDNG】
6K: 6016×3200, 23.976/24/25/29.97/30p, 12-bit, フルFOV
4K DCI: 4096×2160, 23.976/24/25/29.97/30p, 12-bit, フルFOV
3.9K: 3944×2088, 47.95/50/59.94, 12-bit, ナローFOV
【ProRes】
4K DCI: 4096×2160, 23.976/24/25/29.97/30p, 10-bit, HQ, フルFOV
2K: 2048×1080, 47.95/50/59.94p, 10-bit, HQ/XQ, ナローFOV
【H.264】
4K DCI: 4096×2160, 24/25/30/48/50/59.94p
【H.265】
4K DCI: 4096×2160, 24/25/30p
アスペクト比 16:9
【CinemaDNG】
6K: 5760×3240, 23.976/24/25/29.97/30p, 12-bit, フルFOV
4K Ultra HD: 3840×2160, 23.976/24/25/29.97/30p, 12-bit, フルFOV
3.7K: 3712×2088, 47.95/50/59.94, 12-bit, ナローFOV
【ProRes】
4K Ultra HD: 3840×2160, 23.976/24/25/29.97p, 10-bit, HQ/XQ, フルFOV
2.7K: 2704×1520, 47.95/50/59.94p, 10-bit, HQ, ナローFOV
FHD:1920×1080, 47.95/50/59.94p, 10-bit, HQ/XQ, ナローFOV
【H.264】
4K Ultra HD: 3840×2160, 24/25/30/48/50/59.94p
2.7K: 2720×1530, 24/25/30/48/50/59.94p
FHD: 1920×1080, 24/25/30/48/50/59.94p
HD: 1280×720, 24/25/30/48/50/59.94p
【H.265】
4K Ultra HD: 3840×2160, 24/25/30p 2.7K: 2720×1530, 24/25/30/48/50/59.94p
FHD: 1920×1080, 24/25/30/48/50/59.94p
HD: 1280×720, 24/25/30/48/50/59.94p
アスペクト比 2.44:1
【ProRes】
5.2K: 5280×2160, 23.976/24/25/29.97/30p, 10-bit, HQ, フルFOV
【H.264/H.265】
4K Ultra HD: 3840×1572, 30p, フルFOV
詳細はユーザーマニュアルを参照してください。
温度
■動作環境温度範囲
-20〜 40℃
■保管環境温度範囲
-20〜 60℃
商品構成
Zenmuse X7 (レンズなし) × 1
収納ボックス × 1
メディア掲載
PRONEWS掲載記事「[OnGoing Re:View]Vol.39 DJI Zenmuse X7シネマカメラレビュー」より2018年6月1日 株式会社アルマダス 吉田泰行
DJIから2017年10月にリリースされたデジタルシネマカメラ「Zenmuse X7」。空撮専用カメラとしては初めてSuper 35mmセンサーを搭載し、最高解像度は6Kに達する、DJI史上最高性能のカメラである。
DJIは2015年発表のX5シリーズから本格的な空撮カメラの開発に乗り出している。このX7の登場により、一挙にカメラメーカーとしての地位も確立したDJIの今後が非常に楽しみである。今回の記事では従来機種であるX5Sと比較しながら、最新のX7カメラの魅力に迫って行きたい。
スペック

まず気になるスペックであるが、ファームアップによりX7の機能は出荷時に比べ大幅に拡張している。4月6日に発表されたファームアップにより、X7は14bitのRAWに対応(従来は12bit)。地上用のデジタルシネマカメラと比較しても全く遜色がないスペックに引き上げられている。また、Appleから新しく発表されたProRes RAWにも対応しており、RAWに比べ収録時間を延長しつつも、高画質での撮影が可能だ。
なお、筆者は撮影の際に6K RAW(1,925万画素)で撮影をしている。これは地上のカメラで8K RAWで撮影しているのと同じ理由であるが、これだけ解像度が高いと後からクロップをしてフレーミングを変えたり、クライアントに写真としても納品できたりと自由度が大幅に高まるからだ。
特に写真に関してはX5Sからの動画切り出しの場合、若干判別が可能であったが、X7になると動画から切り出した写真か、写真として撮影したデータか判別する事ができないほど解像度が高い。X7を使い動画と写真を同時に納品できるのはクライアント目線からも非常に嬉しい事である。
X5S | X7 | |
センサーサイズ | 17.3x13mm(4/3MFT) | 23.5×15.7mm(APS-C) 23.5×12.5mm(S35モード) |
動画 | 5.2K RAW 12bit 30fps 4K RAW 10bit 60fps 5.2K/4K ProRes 30fps | 6K RAW 14bit RAW 23.976fps 4K RAW 10bit 60fps ProRes RAW対応 |
静止画 | 2080万画素 | 2400万画素 |
X5Sからの改善点
X5Sからの大きな改善点として1つ挙げるとすればダイナミックレンジ(ハイライトロールオフ)の向上である。X5R、X5Sシリーズはダイナミックレンジが12.8ストップあり非常に優秀なカメラであるが、夜明け・日没などダイナミックレンジをフルに必要とされる現場ではハイライト部分が急激に色飛びする事があった。


X5Sで撮影したカット。逆光で非常にダイナミックミックレンジが要求されるシチュエーションである。全般的には非常に頑張っているが、海面付近は照り返しが強く急激に色が飛んでしまっている。色とびが発生するときつい印象を与えるので極力避けたいところではある
※画像をクリックすると拡大します
夜明け・日没のドラマチックなカットでハイライト部分が急激に色飛びをするとどうしても作品性が損なわれてしまうが、X7では大きな改善が見られている。ダイナミックレンジも14ストップに拡張しており、ハイライト部分が色飛びするにしても極めてなだらかに色飛びするように改良された。
元々空撮は地上撮影とは違い、照明が使えず現場の状況によりカメラに無理をさせるシチュエーションが多いのだが、このハイライトロールオフの改善は作品性を担保する機能として高く評価したい。


X7で撮影した素材。X5Sで撮影した素材と同様、完全な逆光での撮影である。太陽部分は色が飛んでいるが、周辺の階調が非常に滑らかに表現されているので、仕上がりの印象も柔らかくなる。なおDJIのX5R、X5S、X7カメラはシャドウ部分の回復力が非常に強く、ダイナミックレンジが要求される現場では暗めに撮影するのをオススメする
※画像をクリックすると拡大します
X7は画質の面ではX5Sに比べ大きな優位性を保っている。しかし状況によりX5Sが生きる現場もまだまだあり、筆者もX5SとX7を現場に応じて使い分けている。以下X5Sに軍配が上がる機能を紹介したい。
■ジンバル速度
X5Sはマイクロフォーサーズ規格を採用しているためカメラの筐体が小型で、標準レンズを搭載した場合の重量は461gである。一方X7はSuper 35mm規格を採用しているため、筐体が大型化しており、レンズ込みの重量は約630gである。小型な分、ジンバルのパン・ティルトの速度は同一設定でもX5Sの方がかなり早く、非常に高速で動く被写体や高速でパン・ティルトの動作をしないといけない現場ではX5Sの方が使いやすいであろう。

X7はX5Sに比べ50%近く重たくなっているため、ジンバルの回転速度はどうしても遅くなってしまう
■レンズの柔軟性

画像左から16mm、35mm、24mm、50mm
X7のレンズは全て単焦点のレンズであり、X5Sのようなズームレンズには対応していない。ズームレンズは単焦点のレンズに比べ、画質面では不利であるが、時間がない現場ではレンズの交換をする手間が省けるため重宝している。その点X5Sに対応しているPanasonicの14-42mmはフレーミングを柔軟に決定できるので時間の節約に繋がる。
一方X7の場合は画角を変える場合、一度着陸してレンズを交換する必要がある。時間が限られる現場ではX5Sの方が向いている状況もあり、実際に撮影のタイムスケジュールにより筆者もX5SとX7を使い分けている。
値段

X7を語る上で最後に触れなければいけないのが値段である。下表に風景などを撮影するという想定で最低限必要な構成品をあげるがX5Sのコンボが約130万円に対し、X7は約155万円である。ただし、X7が求められる現場では画角の調整などかなりシビアな設定が求められる。最終的に複数のレンズを揃える必要があり、機体とセットで200万円ほどの投資が必要である。
Inspire 2 X5Sコンボ | Inspire 2 X7コンボ |
Inspire 2本体:389,000円 | Inspire 2本体:389,000円 |
カメラマン用送信機:65,200円 | カメラマン用送信機:65,200円 |
X5S本体(レンズセット):248,000円 | X7本体:349,800円 |
Cine SSD(480GB)x2:232,000円 | 16mm DLレンズ:168,400円 |
ProRes/RAWライセンス:162,000円 | Cine SSD(480GB)x2:232,000円 |
TB50×10本:189,000円 | ProRes/RAWライセンス:162,000円 |
TB50×10本:189,000円 | |
合計:1,285,200円 | 合計:1,555,400円 |
また投資はこれで終わりではなく、現場のバックアップ用にSSDを複数用意する必要があり、筆者の場合は地上用のデータも含め16TBのSSDを用意している。ここまでのSSDは必要ないかもしれないが、最低限2TB SSD×2は用意したい所だ。なおHDDは転送速度の関係で、X5S、X7の大量のCinemaDNGファイルを転送するにはオススメできない。
以上のようにX7の運用はカメラとドローンを買って終わりではなく、その先の編集の事まで考える必要がある。空撮を始めたばかりの方に関してはPhantom 4 ProやX4Sで徐々に実績を積み上げて、将来的なアップグレードの1つの道として検討した方が良いであろう。
まとめ
X7は空撮用カメラとしては間違いなく世界最高の性能を有しており、地上のデジタルシネマカメラと比較しても遜色はない。筆者は地上用としてはRED WEAPON 8KとEPIC-W 8Kの2台を運用しているが、REDを大型機に乗せて打ち上げる手間暇を考えれば、映画などの現場でも間違いなくX7を推奨したい。
実際にある映画の現場でRED DRAGON 6K相当での撮影のオーダーが来たものの、運用の手軽さや画質面からX7を強く推奨した結果、採用してもらえた。現在複数の現場でX7を運用しているが画質面でも大きな不満がなく、全体的なシステムが小型になるため現場で撮影できるテイク数も大型機に比べ間違いなく増える。
ただし、今後新規にX7を導入するユーザーはやはりコスト面が気になる所であろう。データを処理するPCやSSDなど付属品を入れると最終的な投資額は300~400万円ほど必要になり、決して安い買い物ではない。しかしながら、その代価と引き換えに、最高級のデジタルシネマカメラと遜色がない画質で、手軽に空撮を行う事ができる。本格的な空撮に向けてステップアップを行いたいクリエイターには、X7は非常に魅力的なソリューションではないだろうか。PRONEWS掲載記事「[OnGoing Re:View]Vol.39 DJI Zenmuse X7シネマカメラレビュー」より2018年6月1日 株式会社アルマダス 吉田泰行