AR(拡張現実)とは|誰でも理解できるやさしい解説
Release 2022.03.05
Update 2022.06.07
近年よく耳にするようになった「AR(拡張現実)」。
ARという言葉自体は聞いたことがあるけど、実際にどのようなものなのかは分からないという人も少なくありません。ARはこれからの私たちの生活に大きく関わってくる重要なテーマです。 この記事ではAR(拡張現実)について解説していきます。
AR(拡張現実)とは
ARとは「Augmented Reality」の略称で日本語に訳すと「拡張現実」と呼ばれるものです。現実の風景にデジタルコンテンツを重ね合わせて表示させる技術のことを言います。
例えばスマホゲーム「ポケモンGO」がARを活用して大ヒットしています。
現実世界にあたかもポケモンがいるように表示させることでデジタルを超えた領域でユーザーを楽しませています。またAmazonの「ARビュー」という機能を使えばソファーやベッドなどを購入する前に実際に部屋に置いたらどうなるのかをシミュレーションすることができます。 このようにポケモンGOを始めとして、ARは近年ARブームとも言える流行を見せており様々な分野でARの導入が進んでいます。
AR(拡張現実)の種類
ARはその仕組みによって3つの種類に分けることができます。
ロケーションベースAR
ロケーションベースARとはGPSなどの位置情報に基づいて情報を画面上に表示する技術です。
位置情報以外にも電磁センサーによる方位や加速度センサーによる傾きも情報として加えられています。またGPS機能や電磁センサー、加速度センサーはスマホやタブレットであればほとんどの端末で備わっている機能です。そのためユーザーはただ端末を持ってAR技術を用いたコンテンツに、専用のアプリを通してカメラを合わせるだけで利用することができます。 誰でもカンタンに使うことができる一方で、GPSの精度に依存するため完全な位置情報を一致させることは難しく、どうしてもズレが発生してしまうという問題もあります。
ビジョンベースAR
ビジョンベースARは画像認識や空間認識を利用してデジタルコンテンツを表示させる技術のことです。一概にビジョンベースARと言っても「マーカー型ビジョンベースAR」と「マーカーレス型ビジョンベースAR」の2種類に分けることができます。
マーカー型ビジョンベースAR
マーカー型ビジョンベースARは特定のQRコードや写真、イラストなどをマーカーとして専用のアプリなどで読み込むことでデジタルコンテンツを表示させる技術のことです。
デジタルコンテンツを表示させるトリガーとなるものを「マーカー」と言い、マーカーさえ登録してしまえば周りの環境に左右されることなくデジタルコンテンツを表示させることができます。 他のAR技術と比べても認識性が高く「読み込めない」などのエラーが起きる可能性が低いです。
マーカーレス型ビジョンベースAR
マーカーレス型ビジョンベースARは先ほどのマーカーが必要のない技術で、現実に存在する物質や空間そのものを認識させることでデジタルコンテンツを表示させる技術のことです。
例えば花王株式会社が販売しているブローネの「ヘアカラーを自分の顔で試せる髪色シミュレーションアプリ」にこの技術が使われています。
自分の顔を認識させることで、ヘアカラーをした際の様子を事前に確認することが可能です。 ただしマーカーを必要とせず現実の物質や空間自体を認識する必要があるため、ハードウェアで行われる処理が多くなります。スペックの低いハードウェアで表示させる場合には操作が重くなったり、最悪表示されないといったトラブルが起こりやすいです。
SLAM
SLAMとは「Simultaneous Localization and Mapping」の略称で日本語に訳すと「位置の特定と地図作成を同時に行う」ということを意味しています。もう少し詳しく説明すると、カメラやセンサーから得た情報をリアルタイムに処理して自己位置の特定とその場の地図を作成する技術のことです。
例えば自動で掃除をしてくれるロボット掃除機「ルンバ」にこの技術が使われています。 ルンバはカメラ、またセンサーで自己位置を特定しつつ障害物がどこにあるのかなどの地図作成を行っています。ルンバが障害物を避けながら部屋を隅々まで掃除ができるのはこの技術のおかげなのです。
AR(拡張現実)を体験する方法
ARを体験するには主に2つの方法があります。
ARグラス
ARグラスとは現実世界の風景に追加してデジタルコンテンツを表示することができるメガネ型のウェアラブル型のデバイスです。カンタンに言えばAR体験ができるメガネと言えます。
しかしセンサーが搭載されている分、重量感があるものが多くメガネよりもヘッドセットのようなイメージに近いです。活用事例としては季節に関係なく紅葉や桜を楽しむことができるというツアーが行われていたり、工場などでのマニュアル表示にも使われています。ハンズフリーでマニュアルを確認しながら作業ができるため効率が上がるとされています。
ARグラスとよく混同されるものとしてスマートグラスが挙げられます。 ARグラスは現実世界の風景にデジタルコンテンツを追加するというデバイスを指します。一方でスマートグラスはAR体験できるものもありますが、主に自分の視界に既存の情報を表示するデバイスで現実世界の風景そのものを分析してデジタルコンテンツを追加することはできません。
スマートフォン
スマートフォンでARを体験するには専用のアプリをインストールする方法とブラウザ上で表示させる方法があります。
専用のアプリをインストールする場合
この方法を活用しているのは「ポケモンGO」や「SNOW」です。
どちらもスマホアプリとしてリリースされており、インストールすることでAR体験をすることができます。アプリでAR体験を行なうメリットとしてデジタルコンテンツを安定して表示できることが挙げられます。ラグが生じてしまったり、中々表示されないなどのトラブルを最小限にとどめることが可能です。
ブラウザ上で表示させる場合
専用アプリをインストールせずにブラウザ上のカメラで表示させる方法を「Web AR」と言います。
アプリをインストールする必要がないので心理的なハードルが低く「試しにやってみるか」とユーザーにアクションを起こさせやすいです。 しかしその一方でハードウェアの性能に依存する部分が大きく、場合によっては正常に表示されないこともあります。複雑なAR体験を行うには不向きであると言えるでしょう。
ARをCOCOARで制作して実際に体験してみよう
ARについて未だにイメージが湧かないという方には「COCOAR」を使ってAR制作を行ってみることをおすすめします。COCOARならカンタンにARを制作できるのでARのイメージを持つという意味ではピッタリです。2週間無料でお試しできるデモ版があるので気軽にAR制作を行うことができます。
COCOARでAR制作を行う流れ
1.COCOARのデモアカウントを作成する
COCOAR公式ページのデモアカウント発行ページ(https://www.coco-ar.jp/trial/)から申請を行いましょう。お名前や会社名、お電話番号など必要事項を入力して「同意して送信」を選択してください。2~3営業日でデモアカウントが発行されます。
2.ログインしてコンテンツ作成方法を選択する
ログインして画面左上の新規作成を選択すると「通常コンテンツ」と「カスタムコンテンツ」の2種類が表示されます。今回はARのイメージを掴むためのカンタン制作なのでマーカーとコンテンツが1対1となる「通常コンテンツ」を選択してください。
3.ARで表示したいコンテンツをアップロードする
タイトルを入力してARで表示したいコンテンツの種別を選択しましょう。 「このエリアにファイルをドラッグ&ドロップしてください」とあるので、そこにコンテンツをアップロードしてください。
4.マーカーをアップロードする
コンテンツをARで表示するためのトリガーとなるマーカーをアップロードします。
これも先ほどと同様に「このエリアにファイルをドラッグ&ドロップしてください」とあるので、そこに画像をアップロードしてください。 最後に「完了」を押すとアップデートが完了します
5.COCOAR2をダウンロードする
制作したARコンテンツを楽しむにはCOCOAR2をダウンロードする必要があります。 COCOAR2はiOSとAndroidともにダウンロードすることができます。どちらも無料でダウンロードすることが可能です。
iOS https://apps.apple.com/jp/app/cocoar2/id867328953
Android https://play.google.com/store/apps/details?id=com.slab.sktar&hl=ja
6.アプリ起動してユーザー情報を登録する
COCOAR2をダウンロードして起動すると「アプリかんたん使い方ガイド」が表示されます。
ガイドをスワイプして最後まで確認したら右下の「完了」をタップしてください。すると「ユーザー情報入力」が表示されるので性別や生年などの情報を入力して登録を行いましょう。 登録をしなくても利用はできるので面倒だという方は「情報入力なしでアプリを利用する」をタップしてください。
7. アプリ起動してユーザー情報を登録する
マーカーに設定した画像を枠内の中央に表示されるようにかざしてください。 「スキャン完了」と表示されダウンロードが開始され、その後先ほどアップロードしたコンテンツが表示されます。ちなみにこれはマーカー型ビジョンベースARと呼ばれるもので企業のプロモーションやマーケティングに多く利用されているものになります。
AR(拡張現実)の活用事例
ARはビジネス、また私たちの生活の中でどのように活用されているのでしょうか。 ここではARの活用事例を3つ紹介します。
建機AR
建機ARは戸田建設が開発した「タブレット端末で実際の工事現場に建機の実寸大3Dモデルを表示させる」アプリです。実寸大の3Dモデルを表示させることで建機を設置できるのか事前に確認することができます。また3Dモデルには建機の性能も反映されており、これくらいの重さならこの範囲まで動かすことができるなどのシミュレーションを行うことも可能となっています。
IKEA Place
IKEA Placeは家具量販店のイケアが開発した「実寸大の家具を部屋の中に配置できる」アプリです。
イケアが販売するほぼすべての製品約2,000点の中から選択するだけで、自分の部屋にその家具が合っているのかを確認することができます。 また実寸大で表示してくれるので、わざわざ採寸をする必要もなく配置したい場所にカメラを合わせるだけでサイズの確認ができることも便利な機能と言えるでしょう。
ARメイクアップシュミレーター
ARメイクアップシュミレーターは化粧品及び健康食品を取り扱う株式会社ファンケルが開発した「自分の顔でメイクを疑似体験できる」アプリです。メイクをする前とした後を確認できたり、メイクアップ後の画像をダウンロードすることができます。
従来だと実際に店舗に訪れたお客様は化粧品を自分の肌で軽く試す程度にしかできませんでした。 しかし、このアプリがあればまるで自分の顔にメイクをしているようなリアリティの高いシミュレーションを行った後に購入することができます。
AR・MR・VRは何が違う?
AR、MR、VRの3つの用語の違いがわからないという方が非常に多いです。
ARは現実世界にデジタル情報を付随することを目的としているのに対してVR(仮想現実)は現実世界とは全く関係のない仮想世界を体験することを目的としています。
つまり現実世界が関与してくるものがAR、全く関与しないものがVRということです。
ここでポケモンGOとPlayStation VRを例に挙げてみましょう。
ポケモンGOは現実世界にポケモンが実態しているかのように見せるスマホゲームですのでARに分類されます。一方でヘッドセットを利用して、まるでゲームの世界にいるかのように体験できるPlayStation VRは現実世界を完全に遮断しているのでVRに分類されるということになります。
また、MRはARとVRのちょうど中間に当たるもので複合現実とも呼ばれています。
カンタンに言えば、現実世界と仮想世界の両方が関与するものです。ポケモンGOはポケモンが現実にいるかのように見せるもので自分が触れることはできませんが、これを実際に触れているかのような体験ができるようになればそれはMRとなります。 ちなみにAR・MR・VRの3つの総称のことをXR(Extended Reality)と言います。
まとめ
ARは近年急速に広がりを見せています。
様々な分野で活用されるようになり、私たちの生活の中にも浸透しつつあります。ARは今まさに新しいビジネス革命を起こそうとしているのです。 また、AR市場はこれからも大きく成長することが予想されています。ARに興味がある場合には積極的に導入を検討してみるのも良いかもしれません。