CSRとは?社会から信頼される手段|責任感のない企業だと思われないために
Release 2022.06.07
Update 2022.06.15
社会に求められる企業でありたいと思う企業なら、「CSR」という概念に沿って経営することが必要不可欠と言っても過言ではありません。
企業は規模が広がるほど、社会的な存在意義に注目が集まりやすくなります。
自分たちの利益だけを考える企業は消費者にも好かれず、信頼を失い、やがて社会から追放されてしまうのが現代の世の流れです。
CSRはまさに、「社会のために成り立つ企業」が取り組むべき方針を言葉にしていると言えます。
▼この記事でわかること
- CSRとは?
- 企業にとってのメリット
- 企業にとってのデメリット
- CSRとSDGsの違い
今回は、CSRが何を掲げているのか、企業は具体的に何をすべきなのかをご紹介します。
CSTは企業イメージにも大きく関わる概念なので、しっかりおさえておきましょう。
INDEX
CSRとは?言葉の意味
CSRは「Corporate Social Responsibility」の略語として利用されている言葉です。
Corporate:企業
Social:社会性
Responsibility:責任
つまりCSRは「企業が担う社会的責任」を意味しています。
CSRの「企業が担う社会的責任」とは?
CSRを掲げる企業は、企業の利益ばかりを追い求めず、ユーザーや社会全体からの要求にも責任を持って対応する企業であるべきだと考えられます。
具体的には、下記のような点に責任を持つことが求められます。
・消費者への責任ある提供と対応
・人権を尊重した適正な労働条件
・地域社会への貢献
・不正のない雇用
・環境の配慮
CSRが求められるようになったきっかけは、食料品の成分や消費期限の偽装が相次いで発覚したことでした。
このような不正は、企業が消費者に対する責任感を持っていれば、発生することはなかったでしょう。
言い換えれば、CSRとは企業が「消費者から信頼されるべき理由」を掲げる方法だと言えるでしょう。
CSRに取り組むメリット
CSRにしっかりと取り組む場合、企業にとってのメリットは大きいです。
具体的には下記の通りです。
CSRに取り組むメリット①:企業イメージのアップができる
自分たちの利益のみを考えている企業に、CSRは取り組めません。
消費者を尊重し、不正のない企業であることをCSRの情報として定期的に開示していれば、企業への信頼やイメージはアップします。
安心して関わってもらえる、安全な企業だというブランドイメージを持たせることができます。
CSRに取り組むメリット②:従業員の満足度アップができる
従業員の仕事は、会社による社会貢献につながっています。
CSRに取り組む企業の一員として働く従業員にとって、社会貢献できているという実感は、モチベーションアップや仕事への満足度アップにつながります。
仕事が充実していると感じる従業員が増えるほど、生産性も上がり、企業の指揮が全体的に上がることを実感するでしょう。
最終的には就職希望者が増えるなど、優秀な人材採用も見込めるでしょう。
CSRに取り組むメリット③:顧客との信頼関係を強化できる
本格的にCSRに取り組むことで、取引先などの顧客との信頼関係の強化も見込めます。
さらに、株主や投資家に対するアピールポイントにすることもできるでしょう。
反対にCSRに取り組んでいない場合、何か誇れない内部事情を隠しているのかと思われてしまう可能性すらあると言えます。
CSRに取り組まないのであれば、取り組まない正当な理由を表明できる必要があるでしょう。
CSRに取り組むデメリット
一方で、CSRに取り組むことのデメリットもあげていきます。
CSRに取り組むデメリット①:コストがかかる
環境問題などに取り組む場合など、コストは企業に負担がかかります。
収入が入ってこないことに対して費用を使う必要があるため、利益に結びつかないのはデメリットと言えるでしょう。
ただし、長期的な目線で言えば、社会からの信頼を得ることによるメリットが生じると言えます。
一時的な損失があるように思えても、長い目で見れば利益に結びつけることはできるでしょう。
CSRに取り組むデメリット②:口先だけだと企業イメージが悪くなる
「CSRに取り組んでいます!」という企業のホームページにアクセスしてみると、CSRのページが2年前の更新止まりなことがあります。
これでは、CSRに力を入れていないのがバレバレです。
口先だけ良い企業に見せようとしているのがわかってしまうと、かえって企業イメージは悪くなります。
更新作業にお金をかけたくない気持ちはわかりますが、サイトは企業の顔となります。
メンテナンスを怠ると、信頼が落ちる原因になります。
CSRに取り組むデメリット③:人が必要になる
通常の業務にプラスしてCSRの業務を行う必要があるため、人員を確保する必要があります。
場合によっては、人材採用をしなくては人手が足りない企業も出てくるでしょう。
良い企業イメージがあることで、より優秀な人材の確保が可能なことをふまえると、必ずしも悪いことだとは言い切れません。
しかし、経営難を抱えている企業にとってはCSRの取り組みが痛手となる可能性はあると言えます。
CSRとSDGsの違い
CSRとよく似た言葉として「SDGs」を耳にしたことはありませんか?
SDGsは「持続可能な開発目標」と呼ばれています。
CSRとSDGsの違いは、利益を通した活動か、そうではないかという点だと言えるでしょう。
CSRは主に、企業が消費者や社会から信頼を獲得するために、「ボランティア」として利益を得ないことを前提に活動します。
CSRでは多くの場合、環境問題に対する取り組みを無益で行います。
一方でSDGsは、持続可能な社会の実現を目標にしているため、「ビジネスを通して社会をよくする」ことができます。
つまり、社会からの信頼を得るための活動をビジネスを通してする点が、CSRとの大きな違いだと言えます。
CSRはお金のある企業向け
上記を踏まえるとCSRは、無益でも続けられるほどお金のある企業に向いている取り組みであることがわかります。
経済状況に余裕のない企業にとっては、酷な取り組みになるとも言えるでしょう。
一方でSDGsは、ビジネスの延長線上として社会問題に取り組むことが可能です。
つまり、慈善活動として時間と費用の損失を機にする必要がありません。
特に中小企業であれば、CSRよりもSDGsの方が向いている可能性は高いです。
CSRとは?社会から信頼を得るためのボランティア
CSRを「企業の社会的責任」と言うと、難しく感じると思います。
砕いて言えば、「社会に責任ある行動を証明し信頼を獲得するための、ボランティア活動」であることが分かって頂けたと思います。
ただし、「ボランティアならなんでも良いのか」といえばそういうわけではありません。
現在の企業活動の延長線上として、消費者や株主、取引先や社会全体のニーズに応え、社会への悪影響を取り除くような活動をCSRと呼びます。
不正をして隠す企業や、社会に貢献しようとしない自己中心的な企業は、浮き彫りとなった際に信頼を失うものです。
「CSR」は、消費者や社会と良い関係を築くための姿勢を可視化し、態度として表すための手段であると言えるでしょう。
社会に誠意を示し、責任感ある企業であることを証明するために、CSRがあるのです。